航空保安大学校学生

航空保安大学校は、航空機による空の航空交通の安全を支える航空保安業務の人材を養成するための教育研修機関です。大学校と表すのは、国土交通省所管の大学のため、文部科学省の所管である一般の大学と区別するためです。航空保安大学校学生は、航空保安大学校で学ぶ学生を指します。航空保安大学校学生採用試験に合格し、航空保安大学校に入学すると国家公務員となるため、学生でありながら給料が支給されます。現在の航空保安大学校は大阪府泉佐野市にあり、入寮が義務づけられています。また、在学生の約3分の1が女性です。職務内容により「航空情報科」と「航空電子科」に分かれており、研修期間はいずれも2年間です。将来的には、「航空情報科」では航空通信や航空情報の提供、運航管理といった業務に、「航空電子科」では航空管制システムの運用・管理などの業務に従事することになります。以前は航空管制官としての教育を受けるための「航空管制科」がありましたが、平成20年度の採用試験を最後に廃止となりました。航空管制官を目指すためには、まず公務員試験の航空管制官採用試験に合格することが必要です。また、航空管制官として採用後に現場ですぐに働けるのではなく、航空保安大学校で基礎研修（8ヶ月）を受ける必要があります。

航空保安大学校を卒業すると、日本各地の航空官署に配属され、研修を受けた後、航空管制情報官、航空管制通信官、航空管制技術官に任命され活躍できます。航空保安大学校に入学時にすでに国家公務員の身分となっているため、卒業後の就職についての心配はありません。

学生でありながら、国土交通省職員として給与が支給されます。初任給は約15万円で、この他にボーナスなどの諸手当も支給されます。航空保安大学校に入学できると、卒業後は全国各地の空港や航空路管制機関で働けるため、就職に困る事はなく将来性は高いといえます。航空業界では、格安航空会社LCCの就航などにより、今後も航空交通の需要は伸びていくでしょう。多様化するニーズに応えるため、先端の航空交通管理システムの導入も進められており、最先端の科学技術を使用した電子機器が航空保安業務でも使用されています。これらの最新システムを運用するのは人間ですので、航空保安職員にはより一層の高度な能力と変化に対応できる柔軟な姿勢が求められるでしょう。

航空関係の仕事に従事することは、多くの人命を預かることです。ミスが絶対に許されない状況で的確で素早い指示を出す必要があるため、常に落ち着きがあり冷静を保ちながら仕事ができる人に向いています。

航空保安大学校学生採用試験の内容は、大学受験と同じように、理系、文系など範囲はかなり広く、また公務員試験の一般教養についての対策も必要です。多くの知識を幅広く覚える必要があるでしょう。勉強のポイントとしては、第一に過去問をひたすら解くことをおすすめします。難易度はかなり高いため、しっかりと勉強して備えましょう。次に、この試験では面接を重要視しているようです。人柄やコミュニケーション能力などの対人的能力を見ることで、航空保安職員として適性があるかを見ていますので、面接対策も抜かりなく行っておくことをおすすめします。航空関係の勉強は入校後に詳しく勉強していきますが、事前にある程度の知識は身につけておいた方がよいでしょう。