機械加工技能士

機械加工には、金属の塊から材料を切り出す切削加工や、製品を美しく仕上げる研削加工などさまざまな方法があり、作業は旋盤、フライス盤などの工作機械や切削工具を使用して行います。機械加工の工程では、特に「NC旋盤」と呼ばれる、動作を数値情報で指令する制御方式が活躍していますが、このNC旋盤工の仕事に役立つ資格が機械加工技能士です。本資格は工作機械による金属の切削・研削など、一定の形に作り上げる技能レベルを証明する国家資格です。金属加工に使用する旋盤はNC旋盤以外にも多数の種類があり、機械加工技能士の試験は旋盤の種類ごとに分かれています。そのため、自分が仕事で扱っている工作機械を選択して受験します。旋盤の仕事をするために、特に資格は必要ありませんが、機械加工技能士の資格を所持していると、転職や正社員登用に有利に働くでしょう。近年、現場ではプログラミングによる数値制御式（NC）の工作機械が主流になっていますが、手加工による技能の重要性は変わっていません。

就職先は金型メーカーや部品メーカーで、大半が中小企業です。就職先により扱う部品は異なりますが、工場で旋盤工として活躍します。

旋盤工の年収は会社の規模によりかなり格差があり、同じ旋盤工でもプログラミングの知識が必要なNC旋盤オペレーターは一般の旋盤工よりも収入が高めですが、全国平均の年収額とほぼ同じくらいとされています。しかし、かなりの高収入を得られる場合もあり、技術が高く、さらに技能士の特級、1級の資格を所有していると高収入を狙えそうです。近年は、機械加工の仕事で自動化が進んでいるため、プログラミングなどの生産設計業務が中心になってきています。そのため、理工系の大卒者が機械加工の現場で働く傾向が増えています。また、機械加工業界では若手の人材不足が続いており、未経験者を歓迎する企業も多く、現場で実務を身につけやすい環境が整っているところが多いようです。NC旋盤の技術は金属加工業界ではどこでも通用するものであり、性能の高い部品を作り出すために、どのような制御を行う必要があるかなど、チャレンジ精神がこれからのNC旋盤工に求められるでしょう。工業が発展する限り、今後もNC旋盤工の需要は続くはずです。

機械加工の技術が発展し、自動で加工ができるようになってきましたが、人にしかできない仕事がたくさんあるため、精密な作業が得意な人に適性があるでしょう。また、地道に丁寧に仕事ができ、同じ作業を繰り返すことが苦にならない人に向いています。NC旋盤オペレーターは、未経験からでも働きながら技術を習得できるため、実際に未経験者で活躍している人も多く、女性も活躍しています。女性の場合、経験があれば、妊娠・出産や育児などで仕事を離れても復帰しやすいでしょう。

3級以外は実務経験が必要ですので、入社後経験を数年積んでから、自分が担当している機械の2級に挑戦するのが一般的な傾向といえます。個人で金属加工機械を持っているという人は少ないため、試験合格に向けては、休日に出社し機械の操作を練習し、自宅で過去の試験問題集を活用して学科の勉強をするなどで、受験に備える人が多いようです。過去の試験問題は、過去の1・2級・3級と特級の問題を中央職業能力開発協会のサイトで見ることができます。試験問題を見る限り、特級の場合は、実技試験といっても計画立案等作業試験で、工程管理や作業管理、原価管理などについて問われる筆記の試験のようです。