船舶料理士

船という閉鎖された特殊な空間で料理を作るには、通常の調理よりも多くの注意を要します。港を遠く離れ、大海原の真ん中で食中毒などの病気が船内に蔓延しようものなら、きわめて深刻な事態を招きかねないからです。船舶料理士は、船上での調理に必要な知識と技術を認定する資格で、調理師と同様に国家資格となっています。近海または遠洋を航行する1000トン以上の船舶などでは、この資格を得た人が調理を担当することになります。

資格詳細
船舶料理士とは、船舶内で活動する船員のために調理を担当する資格を持っている人を指します。司厨長や司厨員などと呼ばれます。近海・遠洋区域を航行する船舶(総トン数1000トン以上)、または従業制限のある漁船には、必ず船舶料理士を置き、調理業務を管理させることが法律で定められています。船舶料理士が通常の調理師と異なる点は、料理の腕だけでなく、船員の健康を司る食事を海の上で限られた食材を過不足なく上手く使って料理を作るという使命があることです。また、船内の厨房という省スペースでは使用できる調理器具が限られており、時化などで船内が大きく揺れる時には調理の盛り付けなどに苦労することなどもあります。しかし、24時間体制で重労働をする船員たちにとって、美味しく栄養がある食事は航海中の大きな癒しとなるため、やりがいが感じられる仕事です。資格を取得するためには、20歳以上であること、船舶において1年以上の調理業務の経験があること(ただし、調理師、栄養士などは3ヶ月以上)、また、以下のいずれかに該当する必要があります。「船舶料理士登録試験に合格」「海員学校の司厨科・事務科卒業」「調理師、栄養士など、あるいは同等の能力を持っている者」

活躍場所
遠洋区域や近海区域を航行する1000トン以上の規模の船舶が活躍の場となります。その他、従業制限を有する漁船への乗船もあるようです。そのため、就職先は、法律で決められている規模の船舶を所有する海運会社などになります。海上自衛隊で働くことも視野に入れられるでしょう。

収入と将来性
船舶料理士の年収が分かる公式なデータは見つかりませんが、危険を伴う航海士は高収入と言われていることから、同じ船上で働く船舶料理士も航海士の年収に近いのではと推測されています。しかし、ハードな仕事のわりに給料は決して高いとはいえないという情報もあるため、経験によるのではないでしょうか。航海士と同様に船舶料理士も人手不足が慢性的に続いています。船舶料理士の必置は一定規模の船に1人以上と決して多い人数ではありませんが、入れ替わりが多い仕事のようで人手不足は深刻のようです。そのため、所属する企業の待遇が悪くても、経験さえ積めば、より良い条件の会社に転職しやすいといえるでしょう。

向いている人
まず、料理作り、海や船が好きであることは大前提です。また、船舶料理士は、長い航海になると数ヶ月間海の上で調理業務に取り組むため、かなりハードな仕事といえます。大きな規模の船では、100人以上の食事を任せられます。そのため、体力的にも精神的にもタフである人に向いているでしょう。さらに、船に積み込める食材には限りがあり、足りない場合、次の港までの間は食材を上手く使っていく必要があるため、計画性のある人が求められます。航海は計画通りに進まず予定より日数がオーバーすることなどもあるため、非常事態においても臨機応変に対応する力も必要です。

取得方法
船員災害防止協会が実施する船舶料理士登録試験の受験資格をクリアしており、調理のスキルがあれば、計画的に勉強することで試験には合格しやすいでしょう。また、学科試験は調理師の学科試験の内容と変わりないようですので、調理師を目指して勉強している人にとっては取得しやすい資格です。一方で、この資格は船舶での実務経験がある方を対象とした資格ですので、全くの初心者の方は調理や船舶に関しての勉強が数年は必要となるでしょう。



船舶料理士資格の難易度偏差値

偏差値37
超簡単
※資格難易度の偏差値は当サイトの独自のものです。毎年微調整していますので難易度が変わる場合がありますのでご注意ください。
※資格の偏差値(難易度)は人によって感じ方が異なります。より正確に知りたい場合は「偏差値より難易度(難関、普通など)」を参考になさってください。

履歴書に記載する場合の資格の正式名称

平成○年○月○日 船舶料理士 取得
所轄・主催:
船員災害防止協会
※履歴書に資格を書く場合は略称ではなく必ず日付を入れて正式名称で書きます。
※資格の内容によって「取得」や「合格」など明記が変わりますのでご注意ください。
※民間資格などはあまり知られていない資格や似た名前の資格が他にある場合は資格名の前に主催団体を記載した方がよいです。
※正確な情報は資格の所轄団体にお問い合わせください。

2020年資格日程

願書受付
2019年8月13日~2019年9月12日
試験日
2019年10月12日
合格発表
2019年11月1日
※資格の級やレベルによって試験日程が変わる場合は、その資格の代表的な日程を掲載しています。
※試験開催地によって試験日等が異なる場合があります。
※資格の日程は弊社独自の調査結果になります。正式な情報は必ず主催団体にご確認ください。

船舶料理士資格ガイド

資格種類 資格価値 資格タイプ おすすめ度 取得方法
資格種類の画像 資格価値の画像 資格タイプの画像 おすすめ度の画像 取得方法の画像
国家資格 特になし 特になし 横綱クラス 独学 講習 通学

船舶料理士試験概要

受験資格 乗船経験1年以上で18歳以上の調理業務経験者
試験内容
筆記試験

・衛生法規
・栄養学
・食品学
・食品衛生学
・公衆衛生学
・調理理論
・食文化概論

実技試験

・日本料理
・西洋料理
・中華料理
合格率 85.70%
願書受付期間 8月下旬~9月中旬
試験日程 10月上旬
受験地 東京
受験料 60600円

※船舶災害防止協会会員は46200円
合格発表日 11月上旬
受験申込・問合せ 船員災害防止協会
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-5 海事センタービル4F
TEL:03-3263-0918 FAX:03-3263-0910
ホームページ 船員災害防止協会(せんさいぼう)|災害ゼロ・船内衛生・安全確保を目指す
http://www.sensaibo.or.jp/

船舶料理士のレビュー

まだレビューがありません