電子回路接続技能士

私たちの身の回りにある家電製品やスマートフォン、自動車などにはたくさんの電子機器が使われています。これらの機器の中には、電子部品のほかに板状の基板が入っていて、マイクロコンピュータが制御の中枢を担っています。電子回路接続は、基板に電子部品を接続する作業で、はんだ付けや圧着などの方法があります。電子回路接続技能士は、これらの一連の技能を認定する単一等級の国家資格で、主にはんだ付けに必要な技能が評価されます。はんだ付けは、電子機器製造には不可欠な技術です。近年は自動化も進んでいますが、製造とその修正、修理、試作製作などでまだまだ必要な技術といわれています。なお、本試験は受験者が少ないため、試験を開催する県が限られていますのでご注意ください。

電子機器や部品、回路基板製造業界に就職し、はんだ付け作業が必要な電子機器の基板工場で製造の仕事に携わります。工場は都心よりも郊外に多い傾向があります。

電子回路基板の製造の仕事は、派遣社員やアルバイト・パートの募集が大半です。時給は一般の相場と変わらないようです。正社員の給与は、どこの企業もかなり幅があるため、経験があれば優遇されると思われます。また、電子回路設計のエンジニアの場合は、高収入が期待できるようです。近年の電子機器回路基板製造業界の市場規模は縮小傾向にあり、海外生産に切り替えるメーカーが増えており、国内需要が限定的といわれています。そのため、業界全体でM&Aが活発化し再編の動きが強まっているようです。M&Aの場合、買収側の企業に従業員の雇用条件をそのまま引き継いでもらえるので、従業員が失業する心配はありません。また、「はんだ付け　求人」で検索すると、まだまだ需要があります。ただし、大半は、アルバイト・パート、派遣社員の募集で、正社員を求めている企業は少ないようです。

電子部品を基板にはんだ付けする仕事は、はんだごてを当てる角度や速度など、瞬時に多くのことを考えながら作業する必要があります。そのため、集中して作業ができる人、手先が器用で、細かな作業が苦にならない人に向いています。また、座って作業することが多いので、体力的にはきつくなく、女性も挑戦しやすい仕事です。

電子回路接続技能検定試験は、受験者数が少ないこともあり、試験対策の本などがあまり出版されていないようです。過去の「電子回路接続の総合研究―技能検定単一等級」の中古本であれば、ネットで購入できます。また過去の試験問題は、中央職業能力開発協会のサイトで閲覧可能です。実技試験は、プリント配線板に電子回路用部品をはんだ付けで接続し、プリント板を組立てる作業と、シャーシの組み立てが課題となっています。受験者の話によると、この課題では、動作については採点外で、はんだ付けや配線の出来栄えが評価のポイントになるようです。また、実技試験が終わってから、学科試験が比較的早く行われるため、実技と学科の勉強は並行して行う必要があるとのことです。電子回路接続の試験は、範囲が狭いため、電子機器組立の試験に比べて簡単であるといわれています。そのため、前期に電子機器組立の試験を受け不合格になった場合、来年度まで力が落ちないように、後期に行われる電子回路接続技能士の検定試験に挑戦する人も少なくありません。