一級建築士

建築士のなかでも、のべ面積500平方メートルを超す学校や病院、劇場、百貨店などにたずさわれるのは一級建築士のみです。この規模では、最先端の技術をもちいた巨大な建築物の設計から工事の監理をおこなうことになります。学科試験の合格者は、2年以内であれば、再受験の際には設計製図の試験だけを受けることができます。

資格詳細
建築統括者として建築物の設計および監理をおこなう建築士。数ある国家資格のなかでも特に有名な資格ですが、一級、二級、木造の3つに分かれており、一級建築士は最上位に位置する資格として大規模な建築も設計することができます。具体的には、学校や病院、劇場、映画館、公会堂、集会場、百貨店として利用される500平方メートルを超えるのべ面積の建築物、高さ13メートル(軒の高さ9メートル)を超える木造建築などです。また、上位の資格として「構造設計一級建築士」と「設備設計一級建築士」があります。

活躍場所
一級建築士は、主に建築士事務所や建設業、ハウスメーカーなどの専門企業に勤務したり、みずから事務所を開業したりして活躍しています。また、国土交通省や県および市などの地方公共団体、公団などの公共機関、民間企業の自社建物の建築や施設管理に関する部門などに勤めている人もいます。これらの職場で、基本設計および実施設計といった設計業務、工事が計画どおりに実施されているかを確認したり指示したりする工事監理業務などに従事します。

収入と将来性
一級建築士は、二級にくらべて収入面でも有利になります。特に独立開業において一級取得者は高く評価されるでしょう。関連業務の数も二級より豊富なので、仕事の幅が広がり、ビジネスチャンスにも恵まれています。バブル崩壊後の現在は、大規模な建築案件が減っている状況ですが、住宅を中心に建築士のニーズは維持されており、一級を取得していれば手広く仕事をこなすことができるので、さほど将来性についての心配はないでしょう。

向いている人
建築士にとってもっとも重要なのは、建築物の設計から完成までを見通せる現実的な計画力です。合理的な思考を持ち、物事を順序よく組み立てられる人に向いています。それと同時に、工事の監理においては、さまざまな想定外の事態が起きるので、柔軟に対処できる能力も求められます。さらに一級建築士の場合、指導的な立場になることも多いので、リーダーシップも必要になってきます。建築は大勢の人が関わる世界ですので、大規模なチームワークを統率する能力が問われるでしょう。

取得方法
一級建築士になるには、建築の専門教育を受けていない場合、7年以上の実務経験を積んで二級建築士の資格を取得後、さらに4年以上の実務経験が必要です。そのため、大学や専門学校などで建築学の教育を受け、受験資格の実務経験期間を短縮するのが普通です。それでも6年以上の実務経験は必要になります。しかも一級建築士の国家試験の合格率は1割程度という難関で、かなり険しい道のりとなる国家資格です。学校でよく勉強し、現場でまじめに経験を積むという、地道な努力が合格への近道になるでしょう。



一級建築士資格の難易度偏差値

偏差値66
難関
※資格難易度の偏差値は当サイトの独自のものです。毎年微調整していますので難易度が変わる場合がありますのでご注意ください。
※資格の偏差値(難易度)は人によって感じ方が異なります。より正確に知りたい場合は「偏差値より難易度(難関、普通など)」を参考になさってください。

履歴書に記載する場合の資格の正式名称

平成○年○月○日 一級建築士免許 取得
所轄・主催:
国土交通省
※履歴書に資格を書く場合は略称ではなく必ず日付を入れて正式名称で書きます。
※資格の内容によって「取得」や「合格」など明記が変わりますのでご注意ください。
※民間資格などはあまり知られていない資格や似た名前の資格が他にある場合は資格名の前に主催団体を記載した方がよいです。
※正確な情報は資格の所轄団体にお問い合わせください。

2020年資格日程

受付方法によって受付期間が異なる。記載内容はインターネット受付の情報。
願書受付
2020年4月13日~2020年4月20日
試験日
2020年7月12日
合格発表
2020年9月8日
※資格の級やレベルによって試験日程が変わる場合は、その資格の代表的な日程を掲載しています。
※試験開催地によって試験日等が異なる場合があります。
※資格の日程は弊社独自の調査結果になります。正式な情報は必ず主催団体にご確認ください。

一級建築士資格ガイド

資格種類 資格価値 資格タイプ おすすめ度 取得方法
資格種類の画像 資格価値の画像 資格タイプの画像 おすすめ度の画像 取得方法の画像
国家資格 キャリアアップ(優) 業務独占資格 横綱クラス 独学 通学 通信

一級建築士試験概要

受験資格 学歴と実務経験年数により受験資格が与えられる。
・大学:2~4年以上(建築土木課程卒:2年以上)
・3年制短期大学:3~4年以上(建築土木課程卒:3年以上)
・2年制短期大学:4年以上(建築土木課程卒:4年以上)
・高等専門学校:4年以上(建築土木課程卒:4年以上)
・二級建築士:4年以上
・建築設備士:4年以上
※3年生短大は夜間部を除く
試験内容
学科の試験

・学科I:計画
・学科II:環境・設備
・学科III:法規
・学科IV:構造
・学科V:施工

設計製図の試験

・事前公表された設計課題についての設計製図
合格率 0.12
願書受付期間 3月上旬~4月中旬
試験日程
学科の試験:
7月中旬
設計製図の試験:
10月中旬
受験地 各都道府県
受験料 17000円
合格発表日 12月中旬
受験申込・問合せ 公益財団法人 建築技術教育普及センター
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6
TEL 03-6261-3310
ホームページ 一級建築士
http://www.jaeic.or.jp/1k.htm

一級建築士のレビュー

(1件)
まさる
一級建築士資格のメリット、デメリット

2020年11月17日
20代の頃に、デベロッパーに就職していましたが、リーマンショックの影響で、会社が倒産してしまいました。
デベロッパーで住宅設計の仕事していましたが、資格を持たずに仕事をしていたので、
会社の肩書きが無く、外に出されてしまうと設計の仕事をしていたというだけで、自分の仕事内容を証明するものが無く、
転職活動に苦労しました。
そこで、建築士の資格取得をする為に勉強を開始しました。
独学ではなかなか難しい資格ですので、学校に通うことに決めました。
勉強期間中は、毎日2時間以上の勉強時間を確保して、日曜日は一日中、学校に通うといった生活です。
それを11月から翌年の7月まで続ける生活です。
それだけ勉強をしても、合格することは難しく結局実技までの合格に5年掛かりました。


資格を取って最初にプラスに感じたことは、お客様への印象です。
資格を取る前はお客様に名刺を出しても、特に印象が無かったのですが、
名刺に一級建築士と書いてあるだけで、お客様への印象が良くなり、
こちらの提案が通るようになり、言葉に重みが出てきたように感じられます。

また、その後転職をしましたが建築士の資格を持っていることで、
大分給料面に反映することが出来ました。
現在の就職先では自分の名前で建築士事務所を開設し、会社の仕事の幅を広げることが出来てきます。

私の今の環境では、一級建築士の取得は必須だったと思っています。


資格のデメリットとしては、お客様との接点がない設計事務に勤務の方には、余り意味の無い資格なのかなと思います。
資格を取得したからと言って、急に仕事が出来るようになるわけではないですし、
資格の勉強が、実務に役立つかと言えば全部が全部役立つというわけではありません。

持っているに越したとこはない資格ですが、
取るために、余りにも時間とお金がかかる資格だと思います。
(私の場合は5年間の貴重な時間を資格取得に捧げました…)

取るのであれば、体力と頭の回転に余裕のある20代のウチをお勧めします。

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