動物葬祭ディレクター

ペットを家族の一員として迎えているご家庭が多いことでしょう。ペットブームと言われるようになってから久しいですが、ここ数年のコロナ禍により在宅の機会が増えたこともあり、以前よりもペットを飼う家庭が増えているようです。また、ペットが亡くなった後は火葬して埋葬するケースも増えており、行政による火葬だけでは追い付かない状況から、動物葬祭業者の需要が高まっています。しかし、一方で動物の葬儀を行うために必要な資格が存在しないため、火葬に伴う近隣トラブルや、高額な葬祭費用の請求、さらには火葬炉を持っていない業者による死骸投棄などのトラブルが発生していました。このような一部の業者が行っていたずさんな対応により、さまざまなトラブルが起きていたことが背景にあります。そこで、ペット葬祭の技術の向上と業界の信頼回復を目標として、日本動物葬儀霊園協会が設立され、民間資格として動物葬祭ディレクターが発足されました。動物葬祭ディレクターは、葬祭業務に必須の資格ではありませんが、ペットの葬祭について正しい知識を習得している証明になり、顧客にも適切な提案ができます。動物葬祭ディレクターの資格では、火葬そのものの知識、動物火葬場の基本構造例、動物霊園の管理、ペットロスなどへの対応、動物愛護法の知識などが身につきます。本資格は１級と２級があり、2級は誰でも受けられますが、１級は3年以上の実務経験が必要です。

動物葬祭ディレクターの資格を活かせる場は、動物霊園や動物葬儀社などです。ペットの火葬や葬儀、ペットを亡くした飼い主への対応、また動物霊園の管理などの仕事で役立つことができます。

動物葬祭ディレクターとしての資格を活かしたいのであれば、動物葬儀社で働くか、独立して事業を始めることが考えられます。求人サイトでの調査によると、動物葬儀社での正社員としての年収は平均よりもやや低めでした。しかし、個人で動物葬儀社を経営する場合は、事業の規模によりますが、高い収入が期待できる可能性があります。動物葬祭ディレクターは、ペットの火葬や葬儀を執り行うために必ずしも必要な資格ではありませんが、この資格を取得することで、ペットの葬儀に関する専門知識や接遇のスキルを身につけることができます。最愛のペットを失った飼い主の数は増えており、ペットロスという悲しみを抱える人々がいます。そんなとき、動物葬祭ディレクターは、葬儀を通じて飼い主と共に悲しみを分かち合う重要な存在となります。ペットブームは今後も続くと考えられるため、動物葬祭の仕事は将来も需要があるでしょう。

動物葬祭ディレクターは、現在ペット霊園などで働いている人や、将来ペットの葬儀に関連する仕事を目指している人にとって最適な資格です。この職業には、動物愛好家であることはもちろんのこと、飼い主に寄り添いながら、専門的な知識を持ち、丁重な葬儀を執り行うスキルが求められます。

動物葬祭ディレクター検定の学習には、公式テキスト「動物葬祭概論」を使用しましょう。このテキストは、日本動物葬儀霊園協会のウェブサイトでのみ購入できます。試験の問題は、基本的にこのテキストに基づいて出題されるため、学習には必須の書籍です。なお、動物葬祭ディレクター検定の過去問や問題集はまだ出版されていません。テキストをしっかりと読み、重要なキーワードをまとめるなど、学習方法を工夫すると良いでしょう。試験の難易度は比較的低いと言えます。