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地質調査技士

建築物の巨大化・高層化いちじるしい昨今では、ボーリングなどの地質調査が重要性を増しています。震災後には特に地質レベルでの耐震性もより重視されるようになりました。地質調査技士の民間資格は、その地質調査の現場で活躍する技術者を対象にした資格です。最近は建築だけでなく、地下水汚染調査などの環境分野でも需要が高まっており、将来性のある資格となっています。

資格詳細
安全な建築物を建てるためにまず重要なのは、安全な土台です。年々建築物は巨大化、高層化しているため、地耐力がない土地に建築物を建てると、建物が傾くなどのリスクにつながります。建物が建ってしまうと、その地面は人の目に触れにくいため、土地の状態を把握することも困難になってきます。そのため、土台となる地質の調査を行うことが非常に重要です。地耐力が基準値に達していない場合は、地盤改良工事を行う必要があります。特に自然災害の発生が多い日本では、防災面から地質調査の重要性が増しています。地質調査技士の資格は、ボーリングや地質調査に関わる知識と技術を評価する民間資格です。資格は、現場調査、現場技術・管理、土壌・地下水汚染の部門に区分されており、年に一回試験が実施されます。各部門で指定されている実務経験や学歴などを満たすことで受験資格が得られます。なお、令和4年度より「土壌・地下水汚染部門」は、当面の間休止となりましたのでご注意ください。

活躍場所
地質調査技士は、一般的に地質調査会社、ボーリング業、ハウスメーカー、建設コンサルタントなどに就職し、地質調査や設計施工管理の仕事を行います。公的工事では地質調査技士を現場の代理人とし指定するところも多いため、活躍する場は幅広いといえます。地質調査の仕事にあたり、本資格は必ずしも必要ではありませんが、資格を持っていることで現場での活躍の幅が広がるでしょう。

収入と将来性
地質調査技士の年収は、比較的高めです。近年では、地質調査に加えて、環境についての調査も行うことがあり、コンサルタント業として高額な年収が期待できる場合もあります。地震や大雨による土砂災害が多く発生する日本では、地質調査の需要が高まっているため、地質調査技士へのニーズが高く、将来性のある職種といえます。2021年7月に起きた熱海市の土砂災害がまだ記憶に新しいと思いますが、あの災害により、地質調査の防災面での重要性が増してきています。また、多くのインフラは年月が経過して老朽化しているため、建造物の修繕などの際に地質調査の需要も高まっているのが現状です。こうした状況から見ても、今後さらに地質調査技士の活躍が注目されます。

向いている人
地質調査の仕事は、工事の安全管理を行うため、建設現場を取りまとめられるリーダーシップのある人に向いています。特に、建設工程で最初の業務となるのが地質調査であることから、他の業種の人とのスムーズな交流も必要不可欠のため、コミュニケーション力の高さも求められるでしょう。さらに調査の目的を着実に遂行できる使命感も必要です。基本的に、本試験は地質調査の現場での実務に関わる技術者が受けています。

取得方法
地質調査技士の検定試験を受験するには、実務経験または指定学科を卒業していることが必要なため、ある程度知識を習得している方が受けています。そのため、試験対策としては、参考書を読み、参考書の内容とご自身の知識との乖離がないことを確認しつつ勉強を進めるとよいでしょう。また、過去問で試験問題の傾向をつかんでおくことも大切です。過去の試験問題は、全国地質調査業協会連合会のWEBで公開しています。掲載されている解答は、マークシート問題の解答のみです。なお、試験では記述問題もあるので、自分の考えなどを文章にすることに慣れていないと苦労します。記述問題に自信がない方は、文章にする練習を繰り返し行っておきましょう。



地質調査技士資格の難易度偏差値

現場調査 技術管理 土壌地下水
偏差値53 偏差値53 偏差値53
普通
普通
普通
※資格難易度の偏差値は当サイトの独自のものです。毎年微調整していますので難易度が変わる場合がありますのでご注意ください。
※資格の偏差値(難易度)は人によって感じ方が異なります。より正確に知りたい場合は「偏差値より難易度(難関、普通など)」を参考になさってください。

履歴書に記載する場合の資格の正式名称

平成○年○月○日 地質調査技士資格検定 合格
平成○年○月○日 地質調査技士 登録
所轄・主催:
一般社団法人全国地質調査業協会連合会
※履歴書に資格を書く場合は略称ではなく必ず日付を入れて正式名称で書きます。
※資格の内容によって「取得」や「合格」など明記が変わりますのでご注意ください。
※民間資格などはあまり知られていない資格や似た名前の資格が他にある場合は資格名の前に主催団体を記載した方がよいです。
※正確な情報は資格の所轄団体にお問い合わせください。

地質調査技士資格ガイド

資格種類 資格価値 資格タイプ おすすめ度 取得方法
資格種類の画像 資格価値の画像 資格タイプの画像 おすすめ度の画像 取得方法の画像
民間資格 キャリアアップ(優) 特になし 関脇クラス 独学 通学

地質調査技士試験概要

受験資格
現場調査部門

・ボーリングに関する機器などの操作をおこなう実務に関して5年以上の経歴を有する者
・指定の専門学校および学科を卒業後、2年以上の実務経験を有する者

現場技術・管理部門

・大学または工業高等専門学校(5年課程)の地質調査に関する課程を卒業後、3年以上の実務経験を有する者
・大学または工業高等専門学校の地質調査に関しない理工系課程を卒業後、5年以上の実務経験を有する者
・8年以上の実務経験を有する者

土壌・地下水汚染部門

・大学または工業高等専門学校の地質調査および環境に関する課程を卒業後、3年以上の実務経験を有する者
・大学または工業高等専門学校の地質調査および環境に関しない理工系課程を卒業後、5年以上の実務経験を有する者
・8年以上の実務経験を有する者
試験内容
現場調査部門

(岩盤コース・土質コース)
筆記試験

・基礎知識
・現場・専門技術
・調査技術の理解度
・管理技法
・記述式問題
口頭試験

・地質調査技士として必要な知識、経験など

現場技術・管理部門

(地質調査コース・土質試験コース・物理探査コース)
筆記試験:
四肢択一式
・社会一般、建設行政などの知識
・地質、土木・建築などの知識
・現場・専門技術の知識
・調査技術の理解度
・解析手法、設計・施工への適用
・管理技法
・入札・契約制度、仕様書などの知識
・記述式問題

土壌・地下水汚染部門

筆記試験:
四肢択一式
・社会一般・環境行政などの知識
・地質、土木・建築、化学の知識
・現場・専門技術の知識(1)
・現場・専門技術の知識(2)
・地盤解析、措置技術などの理解度
・管理技法
・記述式問題
合格率 34%
願書受付期間 4月上旬~5月中旬
試験日程 7月上旬
受験地 札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
受験料 16800円
合格発表日 9月上旬
受験申込・問合せ 一般社団法人 全国地質調査業協会連合会
〒101-0047 東京都千代田区内神田1-5-13 内神田TKビル3F
TEL:03-3518-8873 FAX:03-3518-8876
ホームページ 地質調査技士資格検定試験
http://www.zenchiren.or.jp/geo_comp/index.html

地質調査技士のレビュー

(1件)
uofaeng97
地質調査の初めの一歩

2023年10月24日
地質・土質調査、とくに実際のボーリング及び原位置試験に携わる若い技術者にとって、学校卒業後、一定の現場経験を経て、最初に取得することが求められる資格です。上位資格とされているRCCM(地質、土質及び基礎)や技術士(応用理学部門(地質)、建設部門(土質及び基礎))を保有していれば、業務遂行上の必要性は低いのですが、知識の整理やCPDポイント取得のために受験してみるのも悪いことではありません。自分もCPDポイント(10ポイント)が目的で受験しました。

試験は、現場調査部門と現場技術・管理部門に分かれています。コロナ以前は、土壌・地下水汚染部門での試験も実施されていましたが、コロナ以後、試験見送りが続いています。私見ですが、土壌・地下水汚染部門は、現場技術・管理部門がカバーする範囲の一部ですので、今後復活したとしてもその必要性に乏しいと思います。

私が受験したのは現場技術・管理部門ですので、現場調査部門については、実際に受験された地質調査実務者に譲りたいと思います。

(1) 四肢択一(100問)
 3時間で100問ですから、分からない問題に時間を掛けず潔く切り捨て、分かる問題でミスらないことが重要です。足切り点は70点とされていますが、余裕を持って80点は確保した方がいいと思います。
 勉強法は、全国地質調査業協会連合会(全地連)のHPから6年分の問題と解答をダウンロードし、実際に解いてみることが唯一の方法です。
 私の場合、6年分について4周ほど繰り返し、間違えた問題はその都度ネットで調べて理解するようにしました。最終的には、95%程度は正解できるようにしました。

(2) 記述問題(600字×2問)
 2時間で2問ですので時間的には余裕があります。1問目は全地連の「倫理綱領」に関する「必須」問題で、3つの行動指針に関する各3つの努力項目を暗記し、合計600字以内で記述します。それぞれについて凡そ説明できれば70~80%は得点できると思います。
 2問目は、土質、地質、室内試験、物理探査のうち、最も得意な分野に関する「選択」問題です。各分野の設問数は3~4問で、それぞれ100~300字、合計600字以内に収まるように記述します。各設問の項目については、6年分の過去問を表にしてみれば、自ずと設問の傾向が明らかになります。とくに、土質と地質は、毎年、経験業務に関する設問なので、経験業務の一つについて整理しておけば、一字一句暗記する必要はありません。読み易く簡潔な文章を心がけ、誤字、脱字をしないように気をつければ、こちらも70~80%は得点できると思います。

合格基準は、(1)で70%以上、(2)でも70%以上をクリアすれば確実でしょう。合格率は毎年31~32%となっていますので、(2)で若干の調整が行われているものと推察します。過去問を数周し、疑問点をひとつずつ解決して行けば普通に合格できる試験です。
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